かわらばん

かわらばん

    
かわらばん地域版72号 2021年5月

ユタカ精工株式会社
   チャレンジする会社 モノ造りで社会をユタカに!!
 NC旋盤・マシニングセンタによる金属切削加工を専門とするユタカ精工株式会社の代表取締役である豊岡淳社長を相模原市中央区田名の本社工場に訪ねました。

 ユタカ精工株式会社は、各種ポンプ及び関連機器の製造販売を行う中堅企業の旋盤工として働いていた父繁夫さんが、1979年1月に独立創業したのが始まりだ。NC旋盤やマシニングセンタを用いた切削加工を専門とし、特に旋盤・複合加工を得意としている。ローレット加工、各種ねじ切り加工等の旋盤加工をはじめ、板金、溶接、塗装、熱処理・表面処理から組み立てに至るまでをトータルサポートする。取り扱い製品は、建機・半導体・医療・ロボット関連など多岐にわたり、鉄・アルミ・ステンレスのほか、樹脂からチタン・マグネシウムに至るまで難削材加工にも豊富な取り扱い実績を有している。また、全機種ネットワーク構築化されたプログラム管理による生産体制は、リピート受注に対する効率化と短納期化を実現。単体の試作加工から量産加工まで、様々な顧客のニーズに合わせ臨機応変に対応している。さらに、長年培ってきた技術を若手社員に伝承していくことで、高度な旋盤加工技術を継続的に実践しており、お客様から相談があれば、自社の旋盤加工技術と横のつながりや協力企業との力強いネットワークで何とかしようとする。まさに切削加工技術を通して、モノ造りの「トータルコーディネート」を可能にしているのがユタカ精工の大きな強みだ。

 そんな同社を率いる豊岡淳社長は生まれも育ちも相模原。森田健作主演の剣道ドラマを観て、小学校1年生の時から剣道をはじめる。剣道の修練は、旺盛なる気力を養い、礼節を尊び、誠を尽くして、常に自己の修養に努め、以て広く人類の平和繁栄に貢献する人間形成の道であるとしている。まさに豆剣士として剣道の修練により心身共に鍛えられた淳少年。その後、高校進学に向けて人生最初の選択を迫られる。日本史が好きな豊岡社長は普通課程(文系)への進路も考えていたが、父からの「次(社長)やれよ」オーラをひしひしと感じ、桐蔭学園工業高等専門学校(理系)への進学を決意。5年間の高専生活では、モノ造りに必要な知識や実技を学んだ。卒業後、人生二度目の選択は就職。父の会社に入ることに抵抗感があった豊岡社長は、大手電機機器メーカーの関連会社に入社。主にエレベータメンテナンス/リニューアルの業務に携わり、月200時間を超える残業をこなしてきた。朝は先輩より先に出社し、休憩時間には先回りしてお茶やジュースを調達するなど、共に働く先輩方への気配りも忘れなかった。当時を振り返り、「会社員でありながら職人気質の職場で、給料は飲み代へ消え、ほとんど残らなかったです( 笑) 」と豊岡社長。入社6年目には高い技術・技能が求められる超高層ビル用エレベータ部門を任された。そんな矢先、突然、父繁夫さんが脳梗塞で倒れた。ここで人生三度目の選択。父の会社に入るかどうか。ここは間髪入れずにユタカ精工に入ることを決めた。バブル経済崩壊直後の1991年、専務取締役として自社経営に取り組むことになったが、しばらくの間は何をどうしていいのか分からず、常に不安な気持ちに包まれていたそうだ。
そんな時、相模原商工会議所主催の「後継者育成セミナー」に参加、ほぼ同時期に青年工業経営研究会に入会した。入会して分かったことは、同じ悩みを持つ二代目経営者がいたこと。同じ境遇の人達と夜通し語り合うことで、精神的にも楽になったとのこと。同会では第25代会長として力を注ぎ、在籍した15年間のうち7年間は役員を務めた。今でも共感できる仲間や協力企業を得られたことは、自分自身にとっても会社にとっても大きな宝になっていると豊岡社長。そして人生四度目の選択。今後の経営に備え、先代の健康面と業況が安定しているうちに事業承継しようと決断。1999年10月、34歳の時に代表取締役に就任した。以後、高品質・短納期はもとより、「安全第一」を重視し無災害記録を6000日以上継続中。モノ造りのスペシャリスト集団として、お客様の問題解決に全社一丸となってお応えしている。

 そんな同社に、昨年から豊岡社長の甥っ子である大類寛希さんが常務取締役として経営に加わった。前職が福祉関連のため、モノ造りに関する知識・ノウハウや経営知識の習得に励んでいる。旺盛な向上心と謙虚な姿勢がとても印象的な大類常務だ。現在、YouTubeで自社の動画アップも行っているとのこと。

 切削加工に長年携わってきた豊岡社長は、「切削加工技術はあまりにも奥が深く、社員と共に日々チャレンジの繰り返しです。そして、新しいことにチャレンジするからこそ、新たな発見と将来がある」という。今後、新たな自社製品の製作に取り組み、それを世に出して社会に貢献していきたいと意欲を燃やす。社長就任以来、「チャレンジする会社 モノ造りで社会をユタカに!」を経営理念としているユタカ精工。日々チャレンジを続けている豊岡社長と社員の皆さんに心からエールを贈りたい。

代表取締役: 豊岡 淳(とよおか じゅん)
所在地: 神奈川県相模原市中央区田名2053-3
従業員数: 10 名
資本金: 1,000 万円
事業内容: 金属部品切削加工、樹脂部品切削加工、機械部品製造、
      各種部品組立 等
URL: https://www.yutaka-seiko.co.jp/
豊岡社長
(左)大類常務 (右)豊岡社長