かわらばん

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かわらばん地域版77号 2022年3月

マイクロテック・ラボラトリー株式会社
   「モーションコントロール技術を通じ、 世の中にないモノづくりで社会に 貢献!」
 ロータリーエンコーダ及びダイレクトドライブモータなどの設計・製造・販売を行うマイクロテック・ラボラトリー株式会社の二関智司社長を相模原市南区上鶴間本町の本社工場に訪ねました。

 マイクロテック・ラボラトリー株式会社は、昭和56年にフォトエッチング製品の販売会社として小山保夫氏によって設立された。昭和58年にマイクロエンコーダの販売を開始して以来、マイクロエンコーダ並びにμDDモータを主力製品として40年余りにわたる業歴をもつ老舗企業だ。独自の開発製品に加え、大手中堅各社のOEM生産も行っており、優れた技術力に裏付けされた信頼性の高さが窺われる。

 エンコーダは、精密位置決めを必要とする半導体製造や工作機械、ロボットなどの分野で最も多く使われている位置計測センサー。特にロータリーエンコーダは回転・水平移動システムで、その移動方向や移動量、角度を検出するための重要な部品。同社の主力製品である小型・高分解能ロータリーエンコーダ「マイクロエンコーダ」は、世界最小エンコーダから超高分解能まで多品種約3000種類のラインナップがあり、そのすべてが省スペース設計となっている。ロータリーエンコーダの検出原理は光学式・磁気式・静電容量式などがあるが、同社は光学式を採用している。光学式エンコーダは発光素子、スリット、受光素子などの構造を最適化し、疑似正弦波のひずみを小さくすることで高分解能・高精度を実現できる。これまでエレベータの移動速度・停止位置制御、望遠防災カメラの雲台角度制御用、配管内探傷ロボットの移動距離計測用のほか、半導体製造装置、医療機器(MRI等)、自動車関連、健康器具など多岐にわたる。特に高い精度が求められる医療分野では、手術用アシストロボットのリーダーの各指関節角計測とフォロワーの制御に採用されている。また、ヒューマロイドロボットの指関節の角度検出用にも使われており、超小型のエンコーダを用いることによって人間の手の大きさと同等のロボットハンドの製作が可能となっている。このように、同社では機械系と電気系を結ぶ担い手として幅広いニーズに対応した製品づくりをモットーに、エンコーダの心臓部であるスリットからエンコーダ本体まで一貫した設計思想のもと「設計・開発・製造・販売・サポート」を行うことで、他社に負けない品質とスピード感を実現している。

 もう一つの主力製品であるダイレクトドライブモータ「μDDモータ」はACサーボモータの一種。減速機構を使用せず駆動させることを前提としているため、一般的なACサーボモータと比較して「低速・高トルク・中空軸」を特徴としている。また、搭載しているエンコーダは「高精度位置決め」に特化し、高負荷軸受けを標準採用することで、「軸負荷」をダイレクトに受けることを可能にしている。同時にギアレス構造にすることで、静音化・高精度化・省スペース化・加速度・バックドライバビリティー効果が得られ、半導体製造装置のマウンターやロボットハンドの指先などに採用実績がある。こうした高い技術力とスピード、そして、時代に合わせた柔軟性がマイクロテック・ラボラトリーの大きな強みだろう。

 そんな同社を率いる二関社長は愛知県の出身。父親の仕事の関係で生まれた直後から各地を転々としてきた。小学生の頃は自然に恵まれた宇都宮で育ち、通学途中にある田んぼや池が主な遊び場。好奇心旺盛で何事にもチャレンジする子供だったそうだ。その後、大宮、横浜、町田と渡り歩き、小学校から高校までに6回の転校経験をもつ。十代の時からバイクと車が好きで、進学した関東学院大学理工学部(土木)では自動車部に入部。国際ライセンスを取得し、今までに全日本ダートトライアル選手権や関東ラリー選手権に出場、アジアパシフィックラリー選手権には招待選手として出場した経験もある。現在は栃木や長野のサーキットで月に1回程度走っているそうだ。今でもWRC(ワールド・ラリー・チャンピオンシップ)に出場する夢を抱いているのだとか。

 そんな二関社長のモットーは「仕事も遊びも楽しく真剣に」だ。入社以来、製造から営業、技術、品質保証、発注・サプライヤー・原価管理など社内すべての部門を経験し、取締役を経て平成28年に代表取締役社長に就任した生え抜きの社長。「現在70名ほどいる社員がモチベーションをアップし、自ら考え行動できる働き甲斐ある職場を作っていきたい。同時に社員には果敢にチャレンジし成功する人になってほしい」と熱く語る。今後の目標は、2030年(令和12年)までに社員全員と同じ屋根の下で働けるような理想的な本社屋をつくることだそうだ。

 昨今、オンライン化の進展により世界が身近になってきた。今後、アメリカやカナダへの事業展開を模索する二関社長は、「困りごとがあれば何でも気軽に相談してほしい。そして様々な企業の皆さんと一緒に世界に羽ばたいていきたい」と話す。新たな企業理念に“モーションコントロール技術を通じ、世の中にないモノづくりで社会に貢献する” を掲げ、常にポジティブ思考で挑戦し続ける二関社長と社員の皆さんの次なるチャレンジに期待は膨らむばかりです。

代表取締役社長: 二関 智司(にのせき さとし)
所 在 地:  神奈川県相模原市南区上鶴間本町8-1-46
従業員数:   70名
資 本 金:   4,550万円
事業内容:   ロータリーエンコーダ「マイクロエンコーダ」並びに
        ダイレクトドライブモータ「μDDモータ」の設計・
        製造・販売
URL: https://www.mtl.co.jp/
二関社長