かわらばん

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かわらばん地域版91号 2024年7月

株式会社リガルジョイント
   “「報・連・相」は社長からを徹底し 全社が一枚岩に!”
 流量計やホース用継手をはじめとする流体関連機器のトータルメーカーである株式会社リガルジョイントの小田中奈穂美社長を相模原市南区大野台の本社工場に訪ねました。

 昭和48年、小田中社長の父である稲場久二男氏によって創業された同社は、今年創立51年目を迎える。現在、「流体機器事業」「環境事業(環境機器・熱交換器)」及び「受託製造事業」を事業の柱としている。流体機器事業では、ロングセラー製品である「カンタッチ」(ホース用継手)をはじめ、流量計・集合配管「マニホールド」、水フィルターや電磁弁など多岐にわたり、半導体製造装置やPCスクリーンといった各種製造装置の冷却ライン配管などで使われている。多様な設置環境に対応しなければならない継手は、製造ライン内における配管部の省スペース化も考慮しなければならない。現場のニーズを知りつくしている同社は独自の技術とノウハウで多くの継手部品の小型化をはじめ、部品点数や設置工数の削減、樹脂型の継手では射出成型による大量生産で低価格化も果たした。新分野進出として家庭用燃料電池関連の部品開発にも挑み、高効率熱交換器「SCFチューブ」を利用し「熱エネルギー」の有効利用を実現。この技術を応用し、既存熱交換器のダウンサイジングによる省資源化、省エネ化を可能にした。また、産学官連携事業である「SIC燃料電池研究会」では家庭用燃料電池システム「エネファーム」の共同開発事業に参画し、熱交換器分野で重要な役割を果たすなどして、これまでに数多くの「技術賞」を受けた。受託事業では、①ユニット組み立て ②パイプ加工 ③各種溶接などの複合工程を経る加工に対応するため、独自の生産加工ネットワークでワンストップサービスを提供する。それを可能にしているのが350社を超える協力会社の存在だ。創業時、当時としては珍しい「工場アパート」を敷地内に開設し、板金・切削・曲げなどの金属加工を得意とする職人衆を集い、様々なニーズに対応できる体制を構築。やがて、このスタイルが現在の“ものづくりネットワーク”の土台となっていく。創業からしばらくの間は大手メーカーの下請け業者として計装配管事業を行っていたが、半導体は“変動体”と揶揄されるくらい市場の変動が激しく、「下請けのままでは夢は語れない」との思いから、「小さくてもいいからメーカーになろう」と自社製品開発に邁進、一社依存からの脱却を目指した。今では大手メーカーをはじめ、300社を超える顧客を持つ“流体機器メーカー”へと着実に進化を遂げてきた。

 令和4年12月に同社の代表取締役に就任した小田中社長は、幼少の頃から自宅に隣接した「工場アパート」で働く職人さんと共に、常に「ものづくり」のにおいがする環境で育った。型にとらわれない父の教育方針のもと、「何でも自由にやらせてもらえたが、『欲しいものがあれば自分で作れ』というのを当たり前に受け止めていた。」と、小学生の頃を振り返る。そのせいか、小さい頃からお人形の洋服は自分でつくっていたのだとか。学生時代は、海外で活躍したいとの思いから外国語学部に進んだ。一時はグローバルな職種も視野に入れていたが、専門職として仕事に従事することを考えた末に、歯科技工士養成学校に入学、そこで知り合ったご主人と結婚し2 児の母に。結婚後は、個人事業主としてEコマース事業を展開、20年間のキャリアを持つ。趣味は一人旅や読書。温泉や遺跡を巡り、自分と向き合う時間を大切にしているのだという。

 就任当時を振り返ると、コロナ禍でサプライチェーンが根詰まりを起こし、シリコンサイクルに加え部品サイクルも悪化、どん底状態からのスタートだったという。社員も自分の部署を守るのに精一杯で、他の部署と連携する余裕がなかったそうだ。小田中社長は、組織が縦割りになってしまっている状態に何とか横串を通すため、50周年記念事業に取り組み、将来に向けて全社が一枚岩になれるようにしたいと考えた。若手社員を中心にプロジェクトチームを立ち上げ、ボトムアップ方式で進めた。結果は、役割分担や期限などを明確にしたことで、主体的でお互いを気遣い合う“新しいチーム体制” の構築につながったという。

 就任から一年半、社内のコミュニケーションをより一層円滑なものにするために、社長室をミーティングルームに変更、“「報告」「連絡」「相談」は社長から” というスタイルで社員に歩み寄ることに徹している。困ったことはないか、何か欲しいものはないかを、直接社員に聞いて回ることもあるそうだ。そうすると、しだいに社員の方からも色んなことを話してくれるようになるのだと小田中社長。課題と捉えた声についてはすぐさま実行に移さなければならないと、子育てや介護をする社員が「時短勤務制」を申請・利用しても本人のキャリアには影響しないように就業規定を見直したり、有給休暇を増やすなどの「人事制度」の改革に踏み込んだ。社員にとっての“心理的安全性” を高め、より働きがいのある職場環境の構築を今後も進めていく。

 そんな小田中社長は、「リガルジョイントを支えてくださっている協力会社の皆様や従業員に恩返しをする思いで、次の50年も社会に必要とされる“100年企業” を目指して、更なる発展に寄与していきたい」と語る。半導体関連業界で「メーカー」としての地位を確立し、全社一枚岩となって突き進むリガルジョイント、これからも“新たな製品開発” で人や産業、技術、そして時代をつなぐ(=joint)企業として社会に大きく貢献することでしょう。

代表取締役: 小田中 奈穂美(おだなか なおみ)
所 在 地: 神奈川県相模原市南区大野台1-9-49
従業員数:  62 名
事業内容:  流体制御機器及び継手類の開発・製造・販売、環境改善
       機器の販売、各種配管、精密板金、パイプ加工、各種溶
       接、熱交換器の開発・製造・販売
URL: https://rgl.co.jp/
小田中社長