かわらばん

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かわらばん地域版93号 2024年11月

黒岩知事がSICに来訪されました!
   ~株式会社PXPが開発する「曲がる太陽光パネル」 の視察・意見交換~
 神奈川県は脱炭素社会の実現に向けた取組を推進しています。SIC 入居企業である株式会社PXPが、相模原市内に事業所を置く東プレ株式会社と共同で行うプロジェクト『低温物流の脱炭素化に資する次世代太陽電池システムの開発』が神奈川県の【「2050年脱炭素社会の実現」に資する研究開発プロジェクト】採択され、9月24日に黒岩知事が開発状況の現場視察および意見交換のためSICに来訪されました。

 PXP社の次世代太陽電池は、フレキシブルに曲がることが最大の特長で、カルコパイライト化合物を発電層に、基板には厚さ50μmのチタン箔を使用しています。太陽光の変換効率、耐久性を高めつつ、低コスト化を図るため、SICに開設したパイロットラインでは量産技術の開発を行っています。また、注目されるペロブスカイト太陽電池との相性もよく、カルコパイライト光電変換層の上にペロブスカイトを載せ、太陽光の波長の吸収できる幅を広げることで発電効率を格段に向上させるタンデム型(異なる種類の光電変換層を重ねた構造)の実用化に向けても研究開発を進めています。

 冷凍・冷蔵トラックに搭載する低温物流システムを一貫生産し、物流業界で進む電動化需要への対応も進めている東プレ社は、脱炭素社会に向けた取り組みを加速化させています。PXP社が開発する太陽光パネルを搭載し、車両のバッテリーから電力の供給を受けて電動コンプレッサーを稼働させる「自然エネルギーによる発電するシステム」は、東プレ社の次世代システムとして期待されています。

 黒岩知事は、既に公道を走行しているPXP社のソーラーカーと開発されたソーラーパネルを搭載した東プレ社の冷凍コンテナの実機量産技術の開発を行っているパイロットラインを見学されました。研究開発フェーズで確立した製造方法を量産技術に組み込んでいく上で、その検証がPXP社にとっての最重要課題となっています。神奈川県としても実証実験の場を提供していく中、「脱炭素社会実現に向けた着実な流れを、民間と相模原市、そして県が一体となって作っていきたい」と黒岩知事。PXP社と東プレ社の今後の実用化に向けた取り組みを後押ししながら、神奈川発の脱炭素テクノロジーを目の当たりにされ、手応えを感じられている様子がうかがえました。