かわらばん地域版97号 2025年7月
23回目を迎えるさがみはら子どもアントレプレナー体験事業
市場の変化、資金調達、人材確保など、予測不能な課題に直面する起業家は、どんな場面でも前向きに挑戦し、柔軟に対応して苦難を乗り越えます。そのマインドこそ起業家精神=“アントレプレナーシップ” です。
リスクテイクや挑戦を肯定する文化が弱い日本ではアントレプレナーシップ教育が遅れているとの指摘が多い中、相模原市では平成13年から23回に渡り「さがみはら子どもアントレプレナー体験事業(以下、子どもアントレ)」を通じて、地域の未来を担う人材育成を行っています。
相模原市で実施する子どもアントレの特徴は、行政と地域が一体となって本事業を持続的に行っている点にあります。運営資金は相模原市の「青年起業家育成基金」の他、毎年100社を超える地域の企業や個人からの寄付によって支えられています。また、主催者となる「さがみはら子どもアントレプレナー体験事業実行委員会」は、産業界、教育分野、行政のメンバーによって構成されています。委員会では毎年、企画内容が検討され、実施後の振り返りや次年度に向けたフィードバックを行っています。
令和7年度は8月5日、8日から10日までの4日間、48名の小学5~ 6年生が参加します。毎年変わらないのは、「失敗を恐れず挑戦する心」、「自分の考えで行動する力」、「チームワークの大切さ」、「お金の価値」の4つの基本が掲げられることです。参加する子どもたちは、会社設立や事業計画の策定、融資交渉、ものづくり、商品販売、決算というプロセスを通じて、アントレプレナーとして大切なことを体験し、学びます。
開催期間中、大学生たちもこの事業を支えています。本事業が10年を超えたころから、小学生の頃に参加し、当時の学生スタッフに憧れ、今度は運営側で参加したいという学生も少なくはありません。これまでの継続的な活動が、さらなる“エコシステム” の好循環へと発展しています。
参加人数延べ1,000名超の相模原市民の誇りとも言える、さがみはら子どもアントレプレナー体験事業。子どもたちにとっても、主催者や運営スタッフにとってもアントレプレナーシップを養う“熱い夏” が、今年もやってきます。